※後半はネタバレありなので、未読の方はご注意ください。
『溺れるナイフ』ってどんな漫画?
主人公・ナツメは、
東京から地方へ引っ越してきた元モデルの少女。
そこで出会うのが、
圧倒的な存在感を放つ少年・コウ。
田舎町という閉ざされた場所で、
強烈に惹かれ合う二人の関係を描いた作品です。
溺れるナイフ、読みました
え?今さら?
って思いますよね(笑)
実は小学生?中学生?くらいのときに読んだきりで、
途中で止まっていました。
たしか当時、ちょくちょく休載していた記憶もあって。
それでふと、
「そういえば、あの漫画おもしろかったよね。
結局どうなったんだっけ?」
と思い、改めて読み直しました。
大人になって読むと印象が変わる漫画
前半はキラキラしていて、まぶしい。
でも物語が進むにつれて、
登場人物たちの選択や関係は、どんどん苦くなっていきます。
正直、
後半は読むのがしんどかったです。
それでも止まらず読み進めてしまうおもしろさがあって、
読了後はかなり考えさせられました。
そして何より、
とにかく絵がきれい。
実写映画もありますが、
この「きれいさ」の余韻に浸っていたくて、
まだ見る勇気が出ていません。
こんな人におすすめ
- 余白のある作品が好きな人
- わかりやすいハッピーエンドじゃなくてもいい人
- 重たい・暗いテーマも大丈夫な人
※逆に、
スカッとした展開や分かりやすい救いを求める人には、
かなり重たい内容かもしれません。
👉 ネタバレなしはここまで
ここから先は、
物語後半・結末に触れる感想と考察になります。
※ここからネタバレあり※
読んでいて、ずっと思っていたのはこれです。
「コウちゃん、何がしたいんだ……!」
ナツメに冷たくしたかと思えば、
急に距離を詰めたり、暴力に走ったり。
正直、かなり難しい人物。
でも途中でふと、
コウちゃんの暴力は「トラウマの再演」なのでは?
と思いました。
トラウマの再演とは、
PTSD(心的外傷後ストレス障害)などで見られる反応のひとつで、
過去のトラウマ体験を、無意識の行動として繰り返してしまうことです。
フラッシュバックや悪夢だけでなく、
- 子どもの「地震ごっこ」のような遊び
- 加害者/被害者の立場を無意識に再現してしまう行動
も含まれます。
そう考えると、
コウちゃんの行動も、ナツメの行動も、
不思議と腑に落ちる部分が多くありました。
コウちゃんが喧嘩ばかりしていたのも、
トラウマに打ち勝とうとする無意識の防衛反応だったのかもしれない。
ナツメが何度もコウちゃんのことを思い返したり、
ドラマでレイプシーンを演じたあと、
家でもその映像を見返していたのも、
同じ構造なのではと思えてきます。
さらに、
コウちゃんのナツメへの性暴力も、コウちゃんにとってもナツメにとっても、
「トラウマの再演」だったのではないかと考えてしまいました。
(正直、
「なんでナツメは呼び出しに応じるんだろう?」
とずっと思っていたので……)
たぶん普通の漫画だったら、
「性犯罪を“見た側”がトラウマになる」なんて
深く考えなかったと思います。
自分が女性だからというのもあって、
どうしても被害に遭った側に目が向きがちでした。
でもこの漫画は、
助けられなかった側も、
深く傷ついてしまうということを
静かに、でも確かに描いている。
普通だったら私は、
「コウちゃん急にイキってて無理」
で終わっていたと思います。
この漫画は、
言葉で説明してくれない代わりに、
絵と間でそれを伝えてくる。
そこが本当にすごい。
読後に残ったもの
答えは出ません。
スッキリもしません。
でも、
忘れられない。
重たい内容ではありますが、
それだけ深く心に残る作品です。
気になる方は、
ぜひ原作を読んでみてください。
