ニュースは不要!「ニュースダイエット」でより良い生活を手に入れる方法

著者:ロルフ・ドベリ(Rolf Dobelli)

出版社 : サンマーク出版

分類:実用書

出版日:2021/2/10

 

ぴよ吉
ぴよ吉
この前、今日のニュースの出来事を知らなかったら、上司から「ニュースは毎日チェックしろ」って言われちゃったよ。
こっこ
こっこ
毎日たくさんのニュースがあって、追いつくのが大変だよね。でも世の中のことを知ることは大切だよ。
 
このように、ニュースは知っておくべき世界の出来事を伝えてくれる重要なものと認識されている現代において、「ニュースは不要(むしろ害)」と主張しているのが、ロルフ・ドベリさんです。
 
著者のロルフ・ドベリさんは、もともと、手に入る新聞は最初から最後まで目を通すほどの熱心なニュースの読者でした。しかし、毎日ニュースに時間を費やしているものの、ニュースのおかげで自分の生活をよりよくするための決断をできたことはないと気づき、ニュースなしの生活を送ることを決めました。
 
その結果、ニュースを見ていた時よりも、時間的余裕ができ、人生の充実感が増し、決断の質が上がり、心の平静も深まりました。
 
この本では、なぜニュースは私たちにとって害なのか?が、解説されています。
 
毎日ニュースを追うことに疲れているが、「ニュースを見ない=世の中に関心を持っていない=悪いこと」と思ってしまっている方は、本書を読み終える頃には、罪の意識なく、自分の生活からニュースを排除する決断ができるでしょう。

 

・ニュースが私たちに及ぼす影響
・ニュースの断ち方
・ニュースを断って変わったこと

 


 

ニュースダイエットを読んでの学び

この本では、ロルフ・ドベリさんが「ニュースは不要」とする理由がいくつも挙げられていました。
 
以下では、私が その中でも特に共感した点を紹介します。
 
※ここでいう”ニュース”とは、新しい情報をできるだけ早く発信することに重きを置き、起こった出来事が簡潔に書いてある短い記事のことです。著者は、ニュースの対極とされる長文記事、エッセー、本のような、出来事とその出来事の周辺事情・問題点まで詳しく書いてあるものについては、自分の「能力の輪」(”投資の神様”ウォーレン・バフェットの言葉)の範囲内で読むべきとしています。

 

ニュースはあなたとは無関係である

日々私たちが目にしているたくさんのニュースは、私たちの生活をより良いものにしたでしょうか?
 
ほとんどが私たちと無関係のニュースだと思います。
 
本当にそうだったか知りたい人は、過去10年間のその年に起きた重大ニュースを思い浮かべてみてください。そして、その年にあなたがした重要な決断を思い返してください。その年に起きたニュースが、あなたの人生の変化(決断)に影響したものはありますでしょうか?
 
そもそも過去10年間の重大ニュースが思いつかないという方も多いのではないでしょうか?私もその1人です。笑
 
毎日時間をかけてみているニュースですが、ニュースのおかげでより良い決断をできたと思えることはないどころか覚えてないほどの一過性のものなのです。

 

報じられていない出来事のほうが重要度は高い

メディアが取り上げるニュースは、重要度で決められているのではなく、読者の興味を惹きつけられるかどうかで決まっています。
 
例えば事故の報道はしますが、事故を防ぐための行為については報じません。
 
同じ事故を今後起こさないようにするためにしなければいけないこと・すでに取り組んでいることのほうが社会的に重要なはずが、加害者や被害者の環境、心情のような読者が知りたい情報のほうが取り上げられます。
 
メディアが取り上げるニュース=知っておくべき重要な事柄というわけではないことがわかります。

 

ニュースはリスクを誤って評価する

飛行機の墜落事故のニュースを見た後、飛行機に乗るのを控えるというような決断をしてしまうのは、頭に誤ったリスクマップができてしまうためとロルフ・ドベリさんは説明しています。
 
飛行機墜落事故の可能性は自動車事故や自殺で亡くなる可能性より低いにも関わらず、ショッキングな出来事は記憶に残りやすく、それをもとに決断を下してしまう。
 
そのような誤ったリスクマップができるのを防ぐため、ニュースではなく、本や統計資料を読み、実際のリスクを認識して判断を下すことを推奨しています。

 

ニュースは時間の無駄

ニュースを読んでいる時間を失うだけでなく、ニュースを読む前までにしていたことに集中を戻すまでの切り替えコストもかかってしまいます。
 
本書では、ストア派セネカの言葉が紹介されていましたが、これはかなり耳が痛い言葉でした。
 

お金のことになると私たちは倹約家になる。それなのに、時間に関してはとんでもない浪費家になる——私たちが本当に倹約すべき唯一の財産は、時間だというのに

 

 

ニュースは理解を妨げる

出来事の全体像をつかむには個々の出来事のつながりを把握する必要があります。
 
ある出来事が起こった原因は、1つではなく、様々な要因が複雑に絡み合っていますが、ニュースでその要因すべてを取り上げることはありません。
 
読者は一本の掘り下げた記事よりも、1口サイズのニュースを大量に消費することを好むからです。
 
また、1口サイズの大量の情報を吸収することで人は自信過剰になります(それが浅い知識にも関わらず・・・)。その自信過剰さも出来事への深い理解を妨げる要因となるのです。

 

ニュースは体に毒である

人間は良いことよりも悪いことのほうが重要であると考えるため、ネガティブな情報はポジティブな情報の2倍私たちに作用します。
 
たしかに私自身、ショッキングなニュース(殺人事件など)を見ると、夜道歩くのが急に怖くなったり、戸締りを何回も確認したり、異様に心配になることがあります。
 
ニュースを見るという行為は、自らストレスを増やすような行為と言えます。

 

ニュースは私たちの脳を変化させる

著者は、「短いニュースを消費することは、短い情報にざっと目を通すときに必要な脳の領域を鍛えることになる。それに伴い長い文章を読むことや思考を司る回路は退化する。」という指摘しています。
 
このことに私はぎくっとさせられました。
 
たしかに最近、長い文章を読むことに疲れを感じ、集中して読めなくなってきています。
 
このまま短いニュースを読み続けていくと、短い情報を読む力だけが鍛えられ、長い文章を読むことができなくなっていくと考えるとぞっとしますよね。

 

ニュースは私たちを実際よりも「卑小な存在」に感じさせる

私たちはみなヒエラルキーの中で生きていますが、ニュースを見ることで身近なヒエラルキーだけでなく、世界規模のヒエラルキーを感じてしまいます。(井の中の蛙でいさせてくれません)
 
成功者や容姿に恵まれた人のニュースを見ると、自分の地位を低く感じてしまうことはないでしょうか?
 
私は以前よく、マツコ会議を見ていたのですが、そこで成功者の話を聞いていると、「こんなすごい人がいるのかぁ」と感心する反面、「それに比べて自分は・・・」と思うことがあり、最近めっきり見なくなってしまっていました。笑
 
この話を聞いて、「自分よりも不遇な立場の人に関するニュースもあるじゃないか!」と思った方がいるのではないでしょうか。
 
しかし、先に説明した「人間は良いことよりも悪いことのほうが重要である」と感じてしまう習性のことを思い出してください。
 
このことから、自分よりも成功した人がいる(悪いこと)は、自分よりも不遇な立場の人がいる(良いこと)よりも、2倍重くのしかかります。
 
そのため、自分より不遇な立場の人を見て「よかった」と胸を撫でおろすよりも、成功者の話を聞く方がダメージが大きいのです。
 

結論:ニュースは不要

まだまだ紹介しきれていないことはたくさんありますが、以上の理由から、著者は「ニュースは不要」と指摘しています。
 
この本でいう”ニュース”とは短い記事のことであり、自らの意思で「能力の輪」の範囲内のことを、本や長文記事で読むことは重要としています。
 
※本書では、ニュースの対極は、新聞や雑誌の長文記事、エッセー、特集記事、ルポルタージュ、ドキュメンタリー番組、本としています。
 
”自らの意思で”と書いている理由は、ネットニュースだと、関連記事のハイパーリンクにより、自分が意図していなかったニュースに流れつくことがあるからです。大事なのは、知りたいことを決めるのは、あなたでなくてはならないということです。
 
また”「能力の輪」の範囲内”でと書いているのも、「能力の輪」の範囲外のことは無視してもOKだからです。自分が理解できること・自分が力を発揮できること・得意としていること以外は、知ってもどうしようもないと割り切りましょう。

 

この本を読んで変わったこと

 

本書を読んですぐ、ニュースフリー生活を実践してみました。
 
私のニュース・ルーティンは、「朝テレビをつけ、ニュースをチェックし、暇があれば、Twitterのトレンドをチェックする」というものだったので、まず朝テレビをつけるのをやめ、Twitterのアプリを消すことに。
 
実践してすぐに感じたのは、時間が増えたということです。
 
特にTwitterのアプリを消したことは大きかったです。
 
暇があれば、Twitterで友達のつぶやきをチェックしたり、今日のトレンドになっているキーワードや記事をひたすらチェックし、それに対する人々のコメントを見たりしていた時間が、他のこと(読書・勉強など)に使えるようになりました。
 
そしてニュースダイエットを実践し、わかったのは、案外ニュースを見なくったって何も自分の生活は変わらないということです。
 
著者は、本書の中で、ニュースを見なくても「本当に大切な情報は適切なタイミングで耳に入ってくる」と言っていました。
 
確かに、自分がニュースを見なくても、身近な出来事やニュースは世間話の中で、家族や友人・職場の同僚が教えてくれ、特に困ることもありませんでした。(それが本当に大切な情報だったかと聞かれるとそうでもないかもしれませんが。そもそも自分にとって本当に大切な情報というのは身内の安否とかそういうものしか思いつきませんでした。)
 
また、ニュースを断つことによって、不安に思うことが少なくなったように感じます。
 
以前は、殺人事件やいじめのような残酷な事件を見ると、自分にできることはないにも関わらず、ひどく不安に思い、その事件について考えることがありました。今でも心配性なところは変わりませんが、その事件についてずっと考えてしまうということがなくなり、ストレスが減りました。
 
このようにニュースを断つことで、時間的余裕ができ、心の平静を深めることができました。

 

 

まとめ

最後に、本の概要を簡単にまとめます。
 

・ニュースは時間を無駄にし、人生の充実感を減らし、決断の質を下げ、心の平静を乱す
・広く学ぶのではなく、「能力の輪」にあるものを良質な本や文献で深く学ぶ
・知りたいことは自分の意思で決める

 
ぜひこの本を読んであなたもニュースダイエットをしてみてはいかがでしょうか。